生活保護制度について(後半)


  みんなの福祉.com管理人の駿河です。
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   前回の記事では、生活保護制度の根拠と、その大元になる原理原則のお話をしました。理解できなかった人はお気軽に質問してくださいね。


   さて、今回は具体的な生活保護の中身に入っていきましょう!!


(1)生活保護での援助の種類って?


 生活保護は次の8つの援助があります。


①生活扶助

   これは、日常生活に必要な費用をまかなうために支給されるものです。日々の食費、服を買うお金、ガス代等はこちらから支払っていただきます。


  もし、アルコールやたばこに生活扶助で支給されたお金をつかってしまい、ガス代等が払えなくなってしまっても、原則的には役所から生活扶助費の再支給はありません(役所内で会議にかければありますが)。


  日常生活に最低必要なお金は、生活扶助費が支給されたらすぐに支払って不安をなくしたほうが良いですよ。


②住宅扶助

 これは、月々の家賃や、持ち家の人は地代をまかなうために支給されるものです。


 地域毎に住宅扶助の上限額は変わっています。私が住んでいるのは東京ですが、東京だと53,700円が住宅扶助として支給できる家賃の上限になります。


 ちなみに、賃貸住宅にお住まいの方はわかると思いますが、基本的に家賃のほかに数千円の管理費というものも支払う必要があります。そちらは住宅扶助では支給されるものではないので、①で説明した生活扶助のなかから支払っていただく形になります。

 

③教育扶助

 これは、小中高に通っているお子さんを持つ人に支給される扶助です。


 具体的に給食費、教科書代等が支給されています。


④介護扶助

 ご存知の方多いと思いますが、生活保護世帯は福祉用具を購入した時の介護保険の自己負担額は1割となっています(例えば3万の福祉用具を買ったら3千円の支払いで済む)。

 この1割分は、介護扶助として役所のほうから支給されることになってます。


⑤医療扶助

 病気のある方等に対する給付です。基本的に現物支給という形で支給されます。つまり、役所から直接病院に支払われるものです。

 通院をした際の交通費も支給することができます。こちらは、被保護者が支払った分の費用をあとで役所から追加で支給するといった取り扱いになります。


⑥出産扶助

 出産する際にかかる費用をまかなうために支給される扶助です。


⑦生業扶助

 簡単に言えば、技能を習得するための費用です。例えば、仕事をするために必要な作業着等の費用をまかなうために支給されます。就労指導を受けている生活保護受給者の方は受けたことがあるのではないでしょうか。


⑧葬祭扶助

 死んだときの費用です、縁起悪いですが。。。

 ただ、原則的には、亡くなった生活保護受給者に身寄りがある場合には、その身寄りの人に葬祭費用を出してもらうことになっています。

 身寄りの人もいない、いたとしても身寄りもみんな生活保護を受給中等の場合には、役所から葬儀代を支給することができます。



 これら8つが、生活保護の援助を構成する8つのものです。

 地域ごとに支給の限度額は異なります。一番支給額が高いのは、1級地1と言われる地域です。具体的には東京等の大都市ですね。

 あなたの地域の生活保護受給されている方がどれくらい保護費をもらえているのかを確認してみると面白いかもしれません。




(2)一時扶助とは


 生活保護を受給したら、毎月の保護費に上乗せされるかたちで支給されるものがあります。これを「一時扶助」と言います。


 たくさんあるので、代表的なものだけ説明します。「これって一時扶助に該当するの?」ってことがあれば、ツイッターでもなんでもお気軽にどうぞ。


①おむつ代

 常時失禁状態でオムツの利用が必要とされる被保護者の方に支給されます。

 支給に際して、病院の医師からの「この被保護者はオムツを使ってもよいですよ」ということが記載された文書が必要になります。

 上限額はあるので、それ以外は被保護者の自己負担となります。


②家具什器費

  例えば路上生活者が生活保護申請をし、施設に入所しました。施設で安定して生活ができていたのでアパート生活を始めることになりました。ただ、いままで路上生活だったとすると、アパート生活に必要なものは一つも持っていないですよね。

  そんな人にたいして、日常生活に必要な家電の購入費用を支給するのがこの家具什器費です。


③移送費

 ・引っ越しの際の荷物の運搬費

 ・病院に行く場合の交通費


  が代表的な移送費ですかね。こちらも支給することができます。


 基本的に病院に行ったかどうかは本人の自己申告なので、詐欺ろうと思えば詐欺れますが、厚生労働省や各都道府県庁の監査で簡単にばれてきついお仕置きがあるということらしいので、皆さん詐欺はしないようにしましょう。


 「厚生労働省は生活保護受給者の気持ちをないがしろにしている!」って批判は多いですが、よくよくみると被保護者の非常によく考えられている制度だと思いませんか?


 被保護者の生活が困らないよう、様々なものが一時扶助として支給できるようになっているんですよ。



(3)生活保護を受給すると免除されるものとは?

 生活保護を受給すると、税金関連は一切免除されます。介護保険料も免除です。

 また、NHKや水道料金も免除されます。結構免除されるものが多いんですよ。


(4)生活保護を受給するとある制約

  「免除されるものが多いし、一時扶助で色々なものが支給されるし、羨ましい!」

  と思った方、

  逆に、生活保護受給者を制約するものもたくさんあるんですよ。

  

①身分証明書がなくなる!

 生活保護受給すると、国民健康保険を脱退しなければなりません。そのため保険証は没収されることになります。

 いままで身分証明書として国民健康保険証を利用していた方にとっては非常に痛手です。

生活保護を受給することになったら、マイナンバーでもなんでも良いので、はやめに発行しておくことをお勧めします。


②ケースワーカーがつく

 ケースワーカーとは、生活保護受給者一人ひとりに付く役所の職員です。

被保護者の支援やお金の支出事務、いろいろな機関との打ち合わせを行っています。

 生活保護を受給するようになると、ケースワーカーが定期的に自宅に訪れ、近況がどんな感じかを聴取することになっています。あまりにもケースワーカーの訪問を拒んでしまうと、保護の停廃止にもなりえるので、被保護者にとっては結構気を使います。


 「役所に来てください」と言われたら基本的にいかなければならないし、何かを提出してくださいと言われたらすぐに提出しなければなりません。

 面倒ですが、モノは捉えようです。

 ケースワーカーを利用して、就労をし始め、生活保護から抜け出した方も沢山います。

 気持ちの良い関係を築けるようにしていったほうが良いです。


③一度受けた生活保護は原則取り消せない

 生活保護を受給して「やっぱやめた」といってもやめることはできません。

 生活保護が廃止になるのは、失踪した場合や死亡した場合、収入が増えて保護が必要ないとされた場合くらいに限られます。

 生活保護を申請する前に、これらのことは念頭に置いておきましょう。


④収入がある場合には必ず申告をする必要がある

 収入がある場合には、必ず申告をしなければならないことになっています。

 このくらいならばれないだろうとか思っていると、すぐばれます。

 未申告の収入は役所に返還、もしくは額が大きければ詐欺罪で刑事告訴されることもあります。面倒ごとに巻き込まれないよう、収入が発生したら必ず申告をした方が良いです。



 制約はこんなところですかね。


 


  いかがでしたでしょうか。


 今回は、生活保護を受けると支給される扶助を中心に、生活保護制度について説明していきました。

 

 何かご不明な点があれば連絡お待ちしています。


 ではでは( ^ω^)・・・



  
















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